死亡事故
賠償請求の進め方
死亡事故についても弁護士法人心にご依頼いただけます。
死亡事故の賠償請求の進め方は,ケースにより異なります。
最初から全額を加害者に対して請求していく方法もあれば,自賠責保険等の各種保険金を先に請求した後に加害者に対して請求していく方法等もあります。
それぞれメリット,デメリットがありますので,どのように進めるかは,個別事情に応じて柔軟に考える必要があります。
金額を最大化するためには,自賠責保険金等の各種保険金の請求をしないことも考えられます。
遅延損害金は,事故日から未払い元金について発生しますので,途中でいくらか支払われた場合には,その時点以降,支払われた金額を元金とする遅延損害金は発生しません。
また,弁護士費用分の損害は,原則として,加害者に対して請求する賠償金の額を基礎に算定されますので,原則としてすでに支払われた金額は弁護士費用分の損害を算定する基礎には含まれません。
そのため,その分賠償金額総額は減少してしまいます。
裁判の場合と自賠責保険との各種保険金の請求時に要求されれる証明の程度が異なるため,自賠責保険等の保険金請求では賠償が認められたとしても,裁判で否定されてしまうこともあります。
先に自賠責保険等の各種保険金の請求をしていれば支払われたはずの金額が,相手方に対して請求したことにより支払われなくなるということもあり得ます。
死亡事故により多大な精神的苦痛を被った被害者遺族が,せめて金額を最大化したいと望んだにもかかわらず,かえって金額が最少になってしまうという事態は避けなければなりません。
どのように進めていくかの判断は非常に難しいため,弁護士等とよく相談しながら進めていくとよいでしょう。
自賠責保険への請求について
相手方に過失のある死亡事故で亡くなられた被害者の遺族に対しては,自賠責保険から保険金が支払われます。
亡くなられた方固有の損害として,死亡慰謝料や死亡による逸失利益などがあります。
これは,傷害のみの場合や後遺障害が残った場合とはまた異なる賠償費目です。
いずれも自賠責保険に規定があり,自賠責保険から一定額が支払われます。
死亡慰謝料の額は,自賠責保険では350万円とされています。
死亡による逸失利益については,原則として事故前年の年収を基礎に年間生活費を控除し,これに就労可能年数を掛けたうえで中間利息を控除します。
この際に,計算を容易にするため,ライプニッツ係数やホフマン係数が利用されます。
ただし,ほとんどの場合,ライプニッツ係数が使用されます。
中間利息の利率は,事故の発生日等により異なることがあるため注意が必要です。
亡くなられた方の相続人等の損害としては,近親者慰謝料があります。
近親者慰謝料は,相続人であるからと言って必ずもらえるものではなく,また,相続人でないからといって必ずもらえないものではないのである。
刑事記録の取得方法
死亡事故の場合,被害者が亡くなられているため,事故状況が良く分からないということがあります。
加害者が,自分に都合のよいように主張することもあるため,警察官,検察官が作成した刑事記録が重要となります。
刑事記録は,刑事裁判になっているかいないかによって取得の手続きが異なります。
刑事裁判になっている場合には,通常裁判後に記録の開示を受けて取得します。
刑事裁判になっていない場合には,適宜のタイミングで弁護士が,弁護士会を通じた照会手続きをとって取得します。
刑事裁判になっていない場合は,弁護士会を通じた照会手続きでなければ記録を取得できないことが多いですので,ご希望がある場合には,弁護士に相談されるのがよいでしょう。