大分での交通事故の紛争解決に利用できる手続
示談交渉
最も多く利用されていると思われるのが,示談交渉です。
示談交渉は,交通事故当時者同士で行うこともありますし,弁護士が代理人として行うこともあります。
示談交渉は,当事者が納得して合意できればよいので,特段内容に制限はなく,柔軟な解決が期待できます。
また,時間の融通も利くため,比較的早期に解決できる可能性がある手続きといえます。
示談交渉は,会って交渉することもできますし,電話や書面で交渉することもできます。
非常に使い勝手のよい手続きといえます。
ただし,示談交渉はどれだけ妥当な提案があっても,当事者の一方が合意しなければ解決できません。
ですので,当事者間の対立が激しい場合には,紛争解決のための手続きとして適さないこともあります。
訴訟
訴訟は,裁判所を利用した手続きです。
大分にも多数の裁判所があります。
ただし,どこの裁判所でも利用できるわけではなく,当事者の居住地や事故発生場所等により利用できる裁判所が異なります。
訴訟は,当事者が主張,立証を尽くして,その内容を基に最終的には裁判官が判決として判断をします。
当事者の一方がその内容では納得できないと考えていても,裁判官は,自分の判断を判決として示すことができます。
控訴,上告など,再度争うための手続きはありますが,最終的には裁判官が判決により紛争を解決することができます。
訴訟においては,当事者が十分な主張,立証を尽くさなければなりませんので,法的に何が適切な主張で何が適切な立証であるかをよく考えて対応しなければなりません。
本来なら自分の請求が認められていたはずであるのに,主張,立証が不適切であったがために自分の請求が認められないということもありますので注意が必要です。
なお,訴訟をしたからといって必ずしも判決が出されるわけではありません。
むしろ多くの訴訟は,当事者双方の合意のもと,和解により解決されています。
調停
調停は,訴訟と同じ裁判所を利用した手続きです。
調停は,訴訟とは異なり,裁判所が判決による紛争を解決するものではなく,当事者の話し合いにより紛争解決を目指す手続きです。
裁判所を利用した示談交渉と考えればわかりやすいかもしれません。
裁判所は,当事者双方の主張と提出された証拠を踏まえて話を整理し,紛争解決を図ります。
調停でも,訴訟程の厳密さは求められませんが,やはり適切に主張をし,証拠を提出する必要があります。
比較的訴訟よりも短期間で終了することが多い手続きです。
ただし,あくまでも話し合いにより紛争解決を目指す手続きですので,当事者の一方が合意しなければ,合意することができませんし,場合によっては,そもそも話し合うことすらできないこともあります。
交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターは,交通事故の解決を図るADR機関です。
交通事故紛争処理センターでの手続きは,調停,訴訟と似ています。
当事者がそれぞれ主張と証拠を提出し,更にその場で相談担当弁護士から話が聞かれます。
その内容を踏まえて相談担当弁護士からあっ旋案が出されます。
あっ旋案の内容に不満があれば,審査会による裁定を求めることができます。
交通事故紛争処理センターの判断は,一部の保険会社等を拘束しますので,裁定案で解決するかどうかの判断権を,交通事故被害者が持つという点が大きなメリットといえます。
ただし,交通事故紛争処理センターでも,適切な主張と証拠の提出をしなければなりません。
それができないために,本来であれば認められていた自分の請求が認められないということはあります。
また,直接相談担当弁護士と会って話をするため,元気に見えてしまうと,たいしたことがないとの誤解を招いてしまうこともあるようです。
さらに,残念ながら,大分県内には交通事故紛争処理センターがありません。
大分の交通事故について交通事故紛争処理センターを利用しようとすると,福岡県まで出なければなりません。
ですので,大分の方にとって,交通事故紛争処理センターは利用しにくい手続きかもしれません。
日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは,交通事故紛争処理センターと同じく,交通事故の解決を図るADR機関です。
日弁連交通事故相談センターでの示談あっ旋は,当事者双方が合意しなければ行えません。
日弁連交通事故センターでの示談あっ旋においても,適切な主張と証拠の提出をしなければ,本来であれば認められていた自分の請求が認められないということがあります。
日弁連交通事故センターの裁定は一部の共済を事実上拘束しますので,その限りでは,裁定案で解決するかどうかの判断権を,交通事故被害者が持つことになります。
いずれの手続きも交通事故被害者自身で行うことができますが,適切な主張と証拠を提出するのは難しいと思います。
また,交通事故については,上記の機関の利用に至るまでの間にも対応しなければならないことが多々あります。
どの手続をとるのが有利かどうかの判断も難しく,やはり,一度は弁護士に相談するのがよいでしょう。